火災の燃焼は空気の流入がなければ成り立ちません。
でも、考えてみてください。
住宅で火災が起きたとしても、窓ガラスが開いていることがありますか?
夏場はあるでしょうが、冬や留守中は基本的に窓ガラスは閉まっているはずです。
では、火災現場ではなぜ窓ガラスが開いているのでしょうか。
今回は、火災の熱で窓ガラスがなぜ割れるのかに着目して勉強していきます。
火災の窓ガラスは温度差によって割れる

結論から言います。
窓ガラスが割れるということは、その窓から空気が入りこんできます。
つまり、燃焼の三要素のひとつである、空気が加わります。
空気を遮断すれば燃焼は継続しませんが、窓ガラスが割れることで、
燃焼に必要な空気が大量に流入することになります。
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車のフロントガラスに熱湯をかけるとどうなるのか


イメージするとわかりやすいですが、ガラスは温度差により割れることがあります。
たとえば、車のフロントガラス。
あれ、絶対やらないでくださいね!!
車のフロントガラスが割れる恐れがあります。
つまり急激な温度差が原因でガラスが割れることがあるわけです。
窓ガラスが温度差で割れる理由


窓ガラスが温度差によって割れる理由は急激な温度変化に耐えられなくなるからです。
火災により窓ガラスが急激に温められます。
ここでポイント
つまり、火災により窓ガラスが温められるといっても、窓ガラス全体が均一に温められるというわけではありませんよね。
なので、窓ガラスの中でも温度差が生じてきます。
火災により温められた窓ガラスは膨張する
窓ガラスが温められると、膨張します。
しかし、窓ガラスが均一に温められているわけではないので、窓ガラスの端っこなどは膨張しません。
温度が低い部分はいつも通りの状態なのに、窓ガラスの一部にのみ急激に膨張する力が加わることでガラスは耐えられなくなり
やがて窓ガラスが割れていまいます。
火災が発生したときの窓ガラスの割れ方


火災の時、窓ガラスは温度差によって割れるわけですが、具体的に何度くらいの温度差なのでしょうか。
ずばり、約70度であるといえます。
※東京消防庁より
住宅火災の温度は1000度とも言われますから、
火災の初期に窓ガラスは割れてしまうでしょう。
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火災による窓ガラスの変化を見逃すな!
では、火災では窓ガラスをみることでどのような変化を読み取ることができるのでしょうか。
火災により窓ガラスが黒く変色する


窓ガラスが黒く変色する場合は、火災室内に燃焼が豊富にあることを表します。
目で見て、危険性が感じ取れる場合があります。
先ほどからお話ししているように、火災により窓ガラスが割れるのは急激な温度変化により一部分のガラスが膨張するためです。
ガラスが割れている部屋は急激な温度変化が起こっていますので、
室内が延焼している可能性が極めて高くなります。
窓ガラスの細かいヒビ(クラック)は緩やかな温度変化
先ほどとは逆に、細かいヒビ(クラック)の場合は、急激ではなく緩やかな温度変化であったといえます。
このような、窓ガラスの視覚的な違いを感じ取ることで、出火室や状況を読み取ることができます。
窓ガラスが割れたあとの火災経過


火災により窓ガラスが割れることで、延焼が拡大していくことは必然的でしょう。
なぜなら、窓ガラスが割れることで新鮮な空気が流入し燃焼が促進されるからです。
窓ガラスが割れてしまえば
②燃焼の三要素が成立する
③燃焼が拡大する
このような経過を辿るわけですから、火災が広がる前の初期消火が極めて重要です。
初期消火は消火器一本でできます。
しかし使い方を知らなければ意味もありませんよ。
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火災による窓ガラスの割れ方【まとめ】


いかがでしたか。
火災によって、窓ガラスが割れるときは温度差が生じている時です。
目安として約70度の温度差が生じれば、窓ガラスの膨張に耐えられなくなり、割れてしまいます。
火災により窓ガラスが割れてしまえば、燃焼の拡大は防ぎきれません。
初期消火の重要性を改めて認識できましたよね!