消防士なら誰もが知っているべき単語、それがHRR(ヒートリリースレート)です。
火災エネルギーの規模が大きくなると、輻射熱は大きくなりますよね。
例えば、たき火で暖をとるにしても、火のエネルギーが大きいほど暖かさを感じるのは当然のことです。
この、火のエネルギーの総量のことをHRR(熱放出率)と言います。
では詳しくみていきましょう。
HRR(熱放出率)ってなに
冒頭でも説明しましたが、今一度HRR(熱放出率)についておさらいしましょう。
火災である一定の時間で放出される熱エネルギーの総量のこと。
火災では、熱と光が発生しますよね?
一般的に熱と光は大きいほど又は明るいほど、熱エネルギーは大きくなるます。
この大きさ(総量)を表すもの、それがHRR(熱放出率)です。
つまり、言い換えれば火災の危険を表す単位だと言えます。
HRR(熱放出率)が高ければ危険だし、低ければ高いよりは危険ではないということになります。
HRR(熱放出率)が大きい時に関係しているものは〇〇!

火災での燃焼はHRR(熱放出率)で表現する事ができます。
なぜなら、HRR(熱放出率)は燃料の量と燃焼の熱量が関係しているからです。
単純に、熱エネルギーが大きく、火の光が明るい(白っぽい)方がHRR(熱放出率)が高いと言えます。
火災の燃焼ではHRR(熱放出率)を抑える事がポイント
ここまで読んできて分かるように、HRR(熱放出率)をどれだけ抑えるかが、火災の大きさに関係してきます。
HRR(熱放出率)が高い場所とは??

写真からわかること
・ほぼ全ての窓(開口部)が開いている
・1階、2階の窓(開口部)から火炎は噴出していない
・屋根が抜け、建物の2倍の高さまで炎が上がっている
・中心の炎の色は白っぽい
これらの事が写真から読み取れます。
では、なぜこのような現象が起こるのでしょうか。
ほぼ全ての窓(開口部)が開いている

火災の燃焼によって窓が割れたのか、もともと開いていたのかはわかりませんが、
火災の燃焼を大きくする要因の一つが窓開放による空気の流入です。
窓から空気が入ってくることにより、より燃焼を助長させHRR(熱放出率)を高めていると言えます。
燃焼の3要素(4要素)からも、燃焼に空気が必要なことは学びましたよね!

1階、2階の窓(開口部)から火炎は噴出していない


これが、最大のポイントといっても過言ではありません。
1階、2階の窓(開口部)から火炎が噴出していないということは、空気を吸っている(吸気している)といえます!!!
窓(開口部)から新鮮な空気が大量に流入することにより、より燃焼が激しくなり、HRR(熱放出率)を爆発的に高めています。
屋根が抜け、建物の2倍の高さまで炎が上がっている


なぜ、こんなに炎が高く上がっているのでしょうか。
窓(開口部)から空気が流入し、燃焼を促進させていますが炎が高くなるには、もうひとつポイントがあります。
家は基本的に区画されています。
→1階の窓(開口部)から空気を吸って
→2階の窓(開口部)からも空気を吸って
→HRR(熱放出率)が大きくなるから
→炎の高さも大きくなる
つまり、縦長の筒で周りから大量の空気が入ってくれば、燃焼にとってこれほどの好条件はありません。
中心の炎の色は白っぽい


この写真の火の色を、あなたなら何色と表現しますか?
オレンジや赤色、単純にそう見えますよね。
でも、よくみてください。
中心の火の色は、なんだか白っぽくありませんか?
火の色から燃焼が一番激しい部分を読み解く事ができます。
今回、燃焼がいちばん激しい(HRR(熱放出率)が大きい)のは、建物の中心部分だと言えます!!
火災の燃焼 HRR(熱放出率)のまとめ
HRR(熱放出率)とは、熱エネルギーの総称のことを言いますが、この数値が高いと危険であると言えます。
火災の燃焼の温度が上昇し、大量の空気が流入することで火災の燃焼は一気に加速します。
この、HRR(熱放出率)を抑える事が、より早い消火を求める上での鍵になってくる事でしょう。
そのためには、
が必要です。
ドアを閉めて、区画をコントロールする戦術です。
戦術面になりますので、記事の公開はまだ先になります。
慌てず、一つ一つ燃焼について理解を深めていきましょう。