火にはいろんな表情があります。
前回の記事では火の温度の違いについて見てきました。
まだ見ていない方はこちらからご覧ください。
本記事では、火の色に着目し、お話ししていきます。
火というのは、温度等によって色が変化していきます。
その変化を感じとることが、安全な活動につながるとも言えるでしょう。
火の色の変化
火は温度の変化や物質の材質、燃焼の仕方によって、色を変化させます。
基本的に温度が高くなれば青色や白色に近づき、温度が低くなればオレンジ色に近づきます。
例外として、温度が高すぎると火が見えないなんてこともあるので注意が必要です。
また、完全燃焼にた場合は青色、不完全燃焼した場合はオレンジ色になります。
その火は温度によってオレンジ色なのか、不完全燃焼によってオレンジ色なのか見分ける必要があります。
青色の火


7000度以上の火は青色に見えます。
え?じゃあ、ガスコンロの火は7000度もあるの?と思われた方も多いと思います。
ガスコンロの火が青いのは、温度ではなく、完全燃焼が理由とも言えます。
また、火は可燃性ガスと酸素が反応していて、その反応によって青色になります。
酸素が十分に供給された火は、可燃性ガスが熱分解して反応するよりも先に、酸素と反応します。
それがつまり、日常生活で青色の火を見る、一般的な理由であり、ガスコンロの火は完全燃焼である理由です。
同じガスの燃焼でも、完全燃焼では青色になり、不完全燃焼ではオレンジ色に見えるということですが、
詳しくは後ほど解説します。
白色の火
5000度から7000度の火は白色に見えます。
オレンジ色の火


3700度から5000度の火はオレンジ色に見えます。
赤色の火


3600度以下の火は赤色に見えます。
日常生活で使う火の色
私たちが日常生活で使う火の色は赤色やオレンジ色が多くなっています。
つまり、オレンジ色の5000度以下や赤色の3600度以下の火しか、見る機会がないからです。
また、先ほど説明したようにガス等の燃焼では、不完全燃焼(空気が足りない)時はオレンジ色になり、
完全燃焼(空気が足りている)時は、青色に見えます。
ろうそくの火の色


ろうそくの燃焼は煙や一酸化炭素が発生する不完全燃焼です。
ろうそくの火は、内側(中心)の温度が低く、外側の温度が高いという性質があります。
外側の温度が高くなるのは、中心(内側)と比べて、外気と触れるため、空気中の酸素と反応し、より激しい燃焼をするためです。
また、ろうそくは、非効率的な燃焼(不完全燃焼)ですので、オレンジ色に見えます。
ガスコンロの火の色


ガスバーナーやガスコンロなどの燃焼は、効率的な燃焼(完全燃焼)です。
これは、混合燃焼ともいい、非常に効率的な燃焼と言えます。
ガスコンロから煙が発生しているか考えるとわかりやすいはずです。
ガスコンロの火の燃焼は、煤や煙が発生しませんよね。
ガスコンロの火は完全燃焼(混合燃焼)のため、青色に見えるというわけです。
火災の時の火の色


火災の時はオレンジ色、つまり不完全燃焼です。
火災の燃焼は非効率的な不完全燃焼であり、ろうそくと同様に煙、一酸化炭素等を発生させます。
これは、非混合燃焼(拡散燃焼)ともいいます。
混合燃焼や非混合燃焼(拡散燃焼)については、別の記事で詳しく解説します。
まとめ


火の色の違いというのは、燃焼の理論を押さえていなければ、なかなか理解をすることが難しい分野です。
火災の時の火の色とガスコンロの火の色の違いを見て分かるように、不完全燃焼はオレンジ色、完全燃焼は青色ということがわかります。
また、火の色は温度によっても変化するので、私たちが生活する上で見ることが多い赤色の火は3600度以下であるといえますよね。
私たちの生活に、火は無くてはならない存在です。
一方で、火災時は一瞬で人の命を奪う化物に変化します。本質を理解することが大切です。
次回は、物質の燃焼について、さらに深掘りしていきます。